地上30Fのバレンタインデーv


 

…世の中に遅れをとること無く、ペントハウスにもバレンタインデーがやってきました。
 「はいカール。バレンタインチョコ」
 「…そういうもんなのか?」
 「いいじゃないですかー。開けて食べてみてくださいよ」
 高そうな包装紙を無造作に開けると、小さい箱には上品に六つチョコレートが並んでいます。
 …美味しそう。
 カーラン君はひとつつまんで口へ。
 「…うん、美味い」
 「そうですか?良かった、知らないメーカーのだったから、ちょっと心配だったんです」
 「うん、甘ったるくなくて美味い」
 にっこり笑う日向くんに頷きながら、カーラン君二つ目を口へ。
 「あ」
 「なんだよ」
 「…あんまり食べると鼻血吹きますよ?」
 「おまえな…子供じゃあるまいし…」
 「だってそれ、駅前のアノ店で買ったんですもん。ほら、カールが猫手錠買って来てくれたあそこ」
 (※…放課後の号外参照。)
 「…て、あらあ…、手後れ?…マタタビあげた猫みたくなっちゃいました…」
 「うーー何だこれーー何だこれーー楽しいーー」
 こたつのお布団ゴロゴロするカーラン君に猫耳をつけてみる日向くん。
 「ね、カール、カール。尻尾もつけます?」
 「んー?もーなんでもいいぞーー」
 せっかくだから尻尾までつけてみる。あんあん言いながらしっかり入っちゃいました。
 「どーですか?気持ちいい?」
 「…うん………先っぽが寒い。」
 「それは大変」
 「うーん、なんでコタツん中押し込むんだ…日向。」
 「シグルドだって光るボタンとかクリスマスツリーのオーナメントの星とか、戸棚の下に隠してるじゃないですか…それに寒いっていうから。…あったかいですか?『にゃーん』て言って御覧ナサイ。」
 「…日向の中に隠れたい…にゃーん…」
 「いやんvカールったら! ばかばか!可愛いんだからもう!」
 だきゅーっと抱き締めると、金色猫はごろごろと頭を摺り寄せてきます。
 「こたつむりですねー」
 「日向のがあったかい…」
 「あ、ちょっとカール。乗っからないでくださいよ、重いんだし」
 「シグルドだって乗っかるじゃないかー」
 「…あ、やぁだ…あん…」
 じつはカーラン君は猫じゃなくてライオンだったのかもしれません…のしのし、っと日向くんを押し倒し、ねじ伏せちゃいました。
 「日向のここが俺のおうちだー」
 「ああん、駄目、そんなおうちー」
 「…日向も2〜3個食えよ、ほらチョコレート。そしたら駄目じゃなくなるから。」
 「や…あぐ…」
 「うまいだろー?」
 「んっ…カール…」
 「楽しいだろー。」
 「…カール…」
 「ん?」
 「…もっとおうち入って…v」
 「そう?じゃ、おうちもチョコレート食べる?」
 「あーっ、だめっ、おうちの中でとけちゃうでしょ! いやーっ!」
 (※薬品を下から入れるのは大変危険です。良い子はなるべくやめましょう。)
 「入ったv」
 「食べ物粗末にしちゃ駄目らんらから! シグルドりゃって自分のお尻舐めても食べ物は入れらいでショ! …あんっ、やっ…溶けた…。」
 「ここはおうちだからいいんだ」
 「りゅれちゅがまあらなくらってきたー」
 「俺もおうちはいろーっと」
 「あ…んふう…う…」

 …ふたりして大変気持ち良くなった後。
 カーラン君はほとんど正気でおうちから出たのですが、のろのろ体を起こした日向くんの目はまだ据わっていました…。
 「わー、でろんでろん。やーらしいちょこバナなー。なめちゃえー」
 がぶ。
 「…おい!…まだ足りないのか、日向?!」
 「正しいチョコバナナの食べ方はー、先にー、チョコを全部なめなめしてー…ぺろぺろー」
 「…ひゅうがあ…もかんにん…してくれ…」
 「なめなめしてーバナナを復元してから食べる〜」
 「おれがわるかっっ…ああっ…」
 「チョコバナナ食べてるとなかからどろっと甘いのが出て来るンですよ〜んふ。」
 「…そ…それ、ハチミツ入りチョコミルクとかいうアイスキャンディーなんじゃ…???」
 「ちがーう、練乳入り。…甘いの出してー」
 「…無茶言うなよ…」
 「甘いの出るまでやめなーい」
 「無理だって…う……こら、歯……立て…、うっ」
 「だめー!カールやり直しー!」
 …エンドレス。
 ハッピー・バレンタイン☆

若月ゆう樹さま・編。

2001/06/12に頂きましたv

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