地上30Fのきのこ


どうやらひらめのお皿もキレイになって、ワサビをなめてしまったシグルドは牛乳で治療して…お皿洗いはカーラン君、お風呂洗いの日向くん。
 食器洗い器にお皿を並べて蓋をしめ、スイッチオン。おこたに戻るとおこたの上に、日向くんがお花を並べている。
 「それ、もうだめっぽいな。玄関のだろ。」
 「はい、散ってしまったのもあります。」
と、日向くん、バラの芯だけつまんでぷらぷら振る。…でも残りのはくずさないように、首の所をナイフでちょん切っている。
 「…食うのか?」
 「食いませんよ、普通。」
 「あー、酢醤油で食うとうまいんだ。とくに、白がうまい。」
 「ええっ?!」
 「…でも腹下すんだ。…なんかで読んだが、バラのジャムって便秘の薬らしいぞ。」
 「バラの実のお茶なら知ってますけどねえ…酢醤油ですか…うーーん。」
 「…で、何してるんだ?」
 おこたの天板に、カーラン君と並んでジェスが顔をのっける。その背中を牛乳くさいシグルドがよじのぼって、天板に上がって来る。みんなで日向くんの手許をじっと見る。
 「…これですか?風呂にいれるんですけど…」
 「…」
 シグルドは興味なさそうに立ち去り、ジェスはあっちゃむいてくしゃみ。カーラン君は、何か「予感」におののくのでした。
 「…風呂に花入れるのか?」
 「ゆずとか菖蒲もいれるでしょ」
 「…いや…しかし」
 「キレイでしょうねえ、カールの肌に赤いバラ…」
 「少女漫画か、俺は?」
 「極めて近いけど別物」
 「なんだそれは…」
 日向くんはみかんの入っていたかごをひっくり返して、切り取ったバラの花をいれた。
 「カール、洗濯物持ってきてくださいね。お風呂に散らしてくるから、バラ」
 …お風呂はペントハウスのワンダーランド。お花を散らせばお風呂の中じゅういい香り。お花のいっぱい浮かんだお風呂につかるカーラン君はまるでアート写真みたいですvvv日向くん感激v…そこへお客様。
 「しーぐーるーどー。お風呂嫌いなくせに味見だけはするんだからあ。こないだそれやって落ちたでしょー。もーう。…あっ!」
 言ってるはしからドボン。でもカーラン君と日向くん両方はいってるから、とくに問題無し。…泳ぐ泳ぐ。カーラン君ぼそり。
 「猫なのに犬かき。」
 日向くんけらけら笑。
 ついでに洗われてしまったシグルド本日水難の日。
 「シグルド、このままおこた入ったらだめですよ。濡れた洗濯物おこた入れると180度まで上がっちゃうってTVで言ってたから。」
 「大丈夫だ。切ってきたから。…さ、ジェスのとこいって舐めてもらえ。ほら。」
 とカーラン君シグルドをつまみ出す。
 「…舐めてもらえっていうのもすごいですねえ。」
 「昔もっとちびだったころは、よくジェスに面倒みられてたぞー。体中なめ回されてた。」
 「なーんだ、もともとアヤシイ仲だったんだ。」
 「…そうじゃない。」
 「だってこういう感じでショ。」
 日向くん君ちゃぷんと近付いて、カーラン君のあったまり途中の首とか耳とかをぺろぺろ。
 「ん…日向…」
 カーラン君いつのまにか手で日向くんの太腿のあたりさわさわ。お尻もじっくりこねくり〜。
 「う…んっ、カール…」
 「…あん、だめです…のぼせちゃうから」
 「舐める日向が悪い」
 「だってー………」
 日向くんがぱしゃぱしゃと水をたたくので、バラの花びらが水面にはらはらと広がります
 「そういえば…」
 「なんだ?」
 「動物って舐めてなんで毛皮乾くんでしょうね…」
 「それはこの際関係無いだろう…」
 「ああん、駄目…指…」
 「ここは駄目って言ってない」
 胸を反らす日向くんの肌に、ぺたりと剥がれた花びらがくっついて…濡れて薄く火照った白い肌に赤いバラの花びら…これはこれでなかなかな光景。
 片腕で日向くんの上体を抱え込んだカーラン君は、反り返った胸に唇を落としてはキスマークを増殖させて、中に入っちゃった指はもちろんそのままでイタズラ続行。
 「あ、あ…カール…」
ずりずりと上に逃げる日向くんの体をぎゅっと抱き締めて、ちょっと体を離した隙間に、つーっと花びらが一枚。
 視線を下げた日向くんは、とろんとした目でカーラン君を見下ろしてから赤い花びらの行方に目を留め…
 「…毒キノコ…」
 とだけ呟いた。
「食うか? …俺のイッポンシメジ。すっごく効くぞ。」
 「ええ…しってます…死んじゃうかも…んんっ。」
 「…それともこっちにハメる?」
 「あーっ…聞きながらもうはめてるし〜」
 二人でちゃぷちゃぷ揺れちゃって花びらも乱れる水面。目眩がするようなバラの香り。はじまっちゃったらどこでもパラダイスとはいえ、今日は特別なんだか春って感じです。外はまだ寒いけど…。
 
 ・・・そのころのジェス。
 「…おまえ、どうしてそう泳ぐかな。」
 「うるさいにゃーっ、にー、寒いにャー!!」
 へぷし!とくしゃみしながら一生懸命毛づくろいするシグルドを仕方なく手伝ってやりつつ、ジェスのよい耳にはお風呂の日向くんの甘い悲鳴がかすかに聞こえてしまっているのだった…。
 「…どうして人間って年中恋愛中なんだろうな。」
 「鼠だって年中エッチしてるにゃっ!自然科学してる暇があったらしっかり乾かすにゃっ!!!」
 …ナマぬかすシグルドにおもいっきり寝技をかけつつも、ちゃんと面倒をみてやるとっても優しいジェスだった。

 …しばらくして。
 がらりと浴室のドアをあけて、カーラン君は日向くんをかついで出、一旦寝室におさまったかと思うと、また出てきて、冷蔵庫から水のボトルを取り出した。
 …ふと見やると、ジェスの足の間で体中舐めまわされてごろごろ言ってるシグルドが目に入った。
 …日向も舐め回したら元気になるかもしれない。
 そう思って戻って行くと、お風呂の中に入ってたバラみたいに真っ赤にのぼせた日向くんは水をあおって、「腹上死してもいいんなら」と笑う。
 「…それはヤだ」
 「カールの毒キノコ強いんだもん…そーいえばフクロタケって、つかむと先っぽからぱふって粉出すんですよー。カールのは?」
 …にぎにぎにぎ。
 「…おまえ、ホントは腹上死したいんだろう?」
 「このくらいの松茸だったらいくらくらいするでしょうか…」
 「しゃぶってみろよ。でかくなるから。」
 「おっきくなったら値段も上がりますものね…」
 カーラン君の足の間に顔つっこんで日向くん、あむあむ。
 …なんかのぼせてるせいか目が回ります。
 「ん…ねえカール」
 「ん…なんだ…」
 カーラン君、日向くんの頭を抱えて撫で撫でしてくれます。
 「…赤い毒茸はベニテングタケ。イッポンシメジは白っぽい灰色なの。」
 「ラクヨウとか好きだぞ…すんごいヌルヌルしてて…若いうちは形も迫力あって…やらしいし。味もいいし。」
 「…わたしとどっちが美味しい?」
 「…んじゃあ食ってみる。」
 「…うん。」
 カーラン君が手をはなして仰向けになると、日向くん逆さになってカーラン君の顔をまたぐ。…なんだかふらふらなんだけど、大丈夫かな?日向くん…。
 二人がちゃぷちゅぷしゃぶりっこする音。立派なきのこ様をあむあむする唇のはしからもれるアツイ息。自分のには相手の息と、濡れた温かい舌と、柔らかい唇がまとわりついて…茸さん筋たてて、うんと硬くおっきくなっちゃって。 中に入りたい。だって男の子だもんv
 「…カール…入れたい…」
 「…ん、こう?」
 ずぶずぶ入って来るカーラン君の長い指。
 「あ、ああ、ああ…っ、イイっ…でもちがーうー。逆ーっ。」
 「え?…あ、こっち?」
 入ってた手ずるっと抜いて、なぜか逆の手。…しかもなんか指先すぼめてそろえて5本いっぺんに入ってきちゃいました…。
 「ああっ…い…いやーっ…」
 「…こう?」
 ぐいぐいっと中につきすすんでくる手。
 「いやーっ、カールの意地悪ーっ、あーん気持ち良いです〜…うううっ…ああっ。」
 「こうかな。」
 「ゆ、指動かさないでーっ!…ああっ、そっち方面だめですってば!んんっ!」
 「日向のきのこばふってなるかな…俺の口にだしてもいいよ…。」
 ちゅうちゅう。
 「あああっ!」
 あー…日向くんおもらししちゃいました…。カーラン君すっごく満足そう。
 「…もう…ずるいですよ…カール…」
 「ばふってなんないぞ、日向。やりなおしするか?」
 「ばふってなったら私がいっぱい生えてきますよ。しりませんからね。」
 「日向くんのコレがだろ。すごいな。是非やろう。」
 カーラン君全然元気な松茸様をもう瀕死の日向くんにぐいぐいおしこんじゃうのでした。
 
 ・・・そのころのジェス。
 「ZZZZZ…」
 …舐めてるほうも気持ち良いらしい。春だなあ。  

 
 …ぐったりして、いつの間にか寝ていたらしいのです。
 耳の裏をぺろんと舐められた気がして、日向くんは鼻を鳴らした。
 「…ん…だめ、カール……」
 顔をそむけて薄く目をあけると、何故か目の前でカーラン君が喘いでる。
 視界の端でにょろにょろするのは、見慣れたしっぽ。
 白くて黒くて…、これはまさか!
 「…う……うう…でっ…」
 「いいよ出しちゃって?カールはオレの舌好きだよね?」
 「カール!!」
 「あ…ひゅうが……すまん…あっ、んんっ…」
 ゆっくりカーラン君の足の間から顔を上げたのは、やっぱり見慣れた白くて黒い耳をつけたオトコノコ。目はきれいな青。ごろごろ喉を鳴らしてカーラン君に頬を摺り寄せたりするとこなんかそっくりだ…シグルドに。
 日向くんが言葉をなくしていると、もいちど耳がべろんと舐められる。振りかえると見知らぬ…いや、黒いしっぽと黒い耳には見覚えが…。
 顔やさしいのにどこかワイルドなのはやっぱり犬だから?ていうかやっぱり大型犬ってこんなにガタイのいい男になるわけ?
 …いろんなことを日向くんが考えてる間に、もいっかい顔をべろんと舐めたジェスはにっこり笑って。
 「あーなったら、オレに乗り換えるんだったよな?」
 「………わーっ!」

 「なんだなんだなんだ!」
 「…あーん、カールー…」
 悲鳴とともに飛び起きた日向くんは、寝惚け眼のカーラン君にだきゅっと抱き付いて、うにーと甘えます…。
 「…怖い夢でも見たのか?」
 「そう!すっごく怖い夢!」

 …ジェスは突然顔を上げて目を覚ました。シグルドがばたんと足の間で寝返りを打つ。ちょっとの間茫然としてから、ぶるぶると頭を振ってジェスはまた目を閉じた。
 「変な夢みちゃったな…」

 明け方に怖い夢みたらしい日向くんを名残り惜しくもベッドに残してカーラン君はお仕事の時間。春とはいえ、明け方は冷え込みますから、一応いろいろ着込みます。
 カーラン君の足音にピクリと目を覚ますジェス。何故か申し訳なさそうな顔(というかラブラドールはそういう地顔なのだ。)で見上げるジェスの頭をがしがし撫でて、とりあえず水だけやって、出勤です。御飯は日向くんがあげてくれるでしょう。
 シグルドはジェスの足下でぐっすり寝ていましたが、ジェスが起きたので、一緒に起きました。靴をはいてるカーラン君の足に何故か今朝は執拗になついてきます。カーラン君は抱き上げて、ちょっと頬ずり。
 「シグルド。あとでな。」
 シグルドは細い声でにゃーんと鳴いて、少しごろごろ喉を鳴らしました。いってらっしゃい。
 
 ・・・そのころの日向くん。
 「んー…」
 カーラン君の抜けたあとがなんだか寒い。
 少しすると、毛むくじゃらの恋人たちが日向くんのとなりに二匹とも潜り込んできました。
 ちょっとさっきの夢を思い出してドキっとする日向くん。…そーっとなでなでしてみたら、二匹とも全身ふかふかの毛皮です。…ああよかった。
 温かいおふとんで御主人様が帰って来るまで、しばしお休みなさい…なのです。

++++end☆

そんなわけで。

ペントハウス入り口へ。

HRへ。