語り屋19raが語る

 ア ソウル オブ カールファンズ 1


  最終更新日  2000/7/18 


1 初期プレイヤーとしての正直トーク…辛口 

 最後にゼノのメモリーカードを開いたのはいつでしょう。もう随分昔になってしまった人もいるのでしょうね。それはそれで別にいいことです。物語が過去になるということは、薄れて消えるということでもあるけれど、逆に血肉として馴染んだということでもあるのです。

 プレイ中ずっと、あの人に対する評価はよくなくて、

「…いやあ、なんか後ろから蹴飛ばしてやりてえよこのオトコ。」と思っていました。

…放っときゃいいのにね、19raも。嫌いならさ…笑。

 ミアンの一件で…裏切者、なる言葉もでないほどくたくたに疲れ切った彼は、女の死体に屈みこんだまま、動けなくなってしまいました。ああ、この人はこれで終わるのねと思いました。

 なんかそれって…まあそういうキャラもある意味徹底してて分かりいいのかもしれないけど…私はひどく「作者」というヤツ(文芸批評用語だと思って下さるとよい。つまりある意味幻の存在というか…読者が責任問題やら価値観闘争やらをふっかけるとき、「人格」があったほうが便利だから、便宜的に設定する仮想人格のこと。法律で言うところの法人格、みたいな。だから実在の人物には無関係です。)に憤りを覚えたのです。もうこれは、ゲーマーさんたちには馴染みのない言葉かもですが、わたしたちくらいのマンガ好きにはお馴染みのあの言葉です。「愛がない!」

 たとえばフェニックス一輝とかさ、凄いダメ男だけど、凄いカッコイイじゃん。クラスん中にさ、「俺はフェニックスがいいんだ! 文句あっか!」とか言うヤツ必ずいたじゃん。愛があれば、駄目男だって素敵なキャラにできるはずだと思う。

 みっともなく生きてたっていいじゃないか。愛を持って描いてやれよ。

 「作者」は作ったものにある程度愛情もってて欲しいよね。まあ、親が子供愛せないこともあるけどさ。あるけど、それは不幸なことなんだよ、やっぱり。

 カールはこうしてカレルレンに塵溜放棄という試練を授かったかのごとく、「作者」からも投げ捨てられて、多くのゲーマーから「ああ、あのクソゲー」とよばれるゲームの「ああ、あの塵のキャラ」と呼ばれるように…と書いて猛烈に激怒したいところですが、みなさん御存じのとおり、雪原イベントがあるのです。

 われらがシタン先生が、やってくれたじゃありませんか!

 あの先生の御為ごかしの台詞なんかはまあどうでもいいとして、

「誰か がつんとやってやれ!」

 と、みんなが思っていたことを、シタン先生ったらやってあげたじゃありませんか!

 正直言ってあの凶暴な男をぶん殴るのは、かなり命がけの仕事です。

 あとあと恨まれて追い掛けまわされるかもしれないし。

 でも先生はやってくれました。

 すごくすごく嬉しかったのを覚えています。

 カタがついたら私は凄くカールが好きになっていました。

 ついでに先生も好きになりました。

 「ありがとう!スクエア!」と叫びました…笑。

 「あたしが後ろから蹴飛ばしてやりたいっていうふうに感じるのって、実は愛だったのかー…」

と自分でもびっくりしました…笑。 

 ゼノギアスは丹念にやるとこうしていろんなキャラクター観の転換が起こるゲームです。

40時間くらいで茶ッちゃかやっちゃったっきりの方は是非じっくりやりなおしてみてほしいです。

…マルーなんかも、かなり隠し味きいてますですよ。

2 セカンドプレイ…カールの魅力

 登場した時のカールは巨大な空中戦艦を指揮する若き司令官でした。

 堂々とした歩き方、傲慢で尊大、美人で有能な副官を連れ、ウザイ連中を切り捨てるがごとく大胆な台詞を吐き…それでいて捕虜の女の子には妙に礼儀正しく親切で。多分女子供に優しいのかも…という雰囲気をちょっと漂わせて…。

 オヤジどもよりもはるかに、あの美しいアルハンブラ宮殿…もとい、ファティマ城によく合う人物なのです。そこがシグルドの留守宅だと彼が知っていたのかどうかはわかりませんが…。

 そして美人の副官は服を脱いで彼のベッドに入っていました。あ、このやろう、部下に手ぇつけてやがる…しかも黒いパンツなんかはいて…きっとカッコつけでその実凄く寂しい男に違いない、ということは女子供に優しいというよりは、女子供に愛されたい人なのだ…あらあ、なんて可愛い人でしょう…。そのくせ悪夢に飛び起きても、傍らの女に甘える勇気がないのです。

 一回目のプレイ時からいささか気になっていたのは例の「裏切者ーっ!!」です。

 シグルドが冷たい。本当に冷たい。

 どうして「一身上の都合」とか言わないで、分け分からんこと言い捨てて盗人猛々しい態度で出てくかなあシグルド。あなたそういうタイプじゃないでしょうに。…まあ多分真珠捕りでもしていたのでしょう。あの人にはあの人のシグバルな事情があったのだろうと思います。…笑。

 でもあのシーンは本当に胸が痛みますですよね。

 裏切りという行為は、分かちがたく寄り添った二つの魂の間にだけ、起こるもの。ほとんど同化しかけた二つの魂が痙攣的に関係を切断する行為、それが裏切りです。信頼がなければ、裏切りもまた、ないのです。

 そしてシグルドにその自覚が本当に無かったのなら、それはカールの片思いなのです。…かわいそうだが仕方がない。そればっかりは。

 そして古い友情とやらに殉じて、カールの転落が始まるのです。

                  

3 ミァン 2000/6/28

 さてくらいちは、実はシタンファンに

「シタンファンってやっぱりユイさん嫌いなんですか?」

とか聞いてみたことが何度もある。何度もいうのは周囲にシタンファンが多かったからだ。

そしてわざわざ聞いたのは、フェイにのっかってプレイしていた者として、「年上の友人のさりげなく親切な妻」に喩えようのない色気を感じたからだ。

…人妻、兄嫁、喪中の未亡人、お手伝いさん、は、なんといってもセクシーなのである。

セクシーでも女としてそういう楽しみを追及することには普段は少しハバカリがあるので…笑、やっぱりゲームやってるときとか本読んでるときとかは、是非追求してみたいのである。

それできいてみたのだ。

 そうしたら逆に

「じゃああんたはミアンが好きなのか」

と聞き返されたことがある。

 …けっこう好きだ…笑。

 とくにあの自然な感じで少し下がっている胸のあたりや、後ろを向いたときのタイトスカートのフォルムなどには唸らされた。うーーむ、色っぽい。色っぽい、というか、なんかこう、リアルな感じで美しいのだ。くらいちは女は腕、とくに上腕が好きなのだけれど、…ってそれはまた別の機会に。

 ただミアンとトモダチになれるか、というのはまた別の問題で…わたくしは友人やるならエリイとかが楽で良い。女トモダチするなら絶対エリイだ。ただ、オトコの話題だけは遠慮してもらいたい。…笑。マリアもいいがなんとなく嫌われそうな気がする。なんにせよジェンダーと激しく戦ったことのある人が、つきあうのに楽なのだ。ただ、マルーまでいくと、痛くてつきあえない…笑。

 そしてミアンの部下として働けるかと言われれば、有能そうだからたいていのことは我慢できそうだというあたりか。ちなみにいちくらは前職女性課長の下にいた。

 さて、これが「カールの女だが」というただし書き付きで聞かれたとなると、なかなか返答に困る。というのはあの人は実質カールのお母さんだと思うからだ。あの二人の不思議なべたべた感は母子相姦のそれだと思う。…そこが気持ち悪くてカールが嫌いだという人もいることだろう。…くらいちはオトコはみんなマザコンだとなぜかカタク信じているので(そうでない人ごめん…汗)まあひと皮むけばそんなもんだろう程度に思っている。

「別に奴の女になりたいわけじやないから」とか言うとなんかもうカールファンとして大罰符…という気がする。

だからそれはやめておこう。そのかわりに私が言うのはコレだ。

「別に奴の母親になりたいわけじゃないから。」

…うん、コレが正解である。

なんたってくらいちは

「シタン先生になってカールを殴って更正させてやりたい」…笑。

(「カールになってシタン先生に殴られたいvv」っていうのはよくきくけどね…笑。これもリバシ?…笑)

野望だね。だからミアンはオッケー。

 ここうして書くと何だね、くらいちにとってのシタン先生の英雄性というのは、フェイが困った時に助けてくれたあたりにあるのでなしに、あらゆるリスクを無視してカールを殴ってやったところにあるんだとわかります…笑。

こういうのを、いうんでしょ、「オトコマエ」って。…笑。

ほんとにカール中心なんだね…くらいちは…。            


 

 さて、ここまで読み進んで来た勇気ある貴方に質問。

 酔っぱらったカールをあんあん言わせたい? → Yes!

 noの方はまた↓方向へ。


 4 同人泣かせのカール服  2000/7/9

 カールのあの制服は一体なんの制服なのか。

 ゲブラー総司令官の制服なのだろうか。

 窮屈そうだ。

 女の子はパンツ丸出しの涼しい格好なのに、カールは殊更に窮屈そうで暑そうだ。

 (まあカールがパンツ丸出しの涼しい制服というのも照れるが…汗。)

 とにかく描くのが大変で、気が狂いそうになる服だったりする。 

 さる同人誌で「ドミニアは家庭的」というネタを拝見したことがある。

 実は当方もそうかなとおもっていたので大変うれしかった。

 ドミニアは田舎の小さな村の娘としてそれなりに当たり前に育てられたのではないかと思っている。まあアルル、とまでいかなくても、それほど浮いた人物ではなかったのでは…と当方は思っている。ということは食事も作れと言われればシタンとユイの中間くらいの腕を発揮し、餓鬼がヘソ出して走り回ってたらなおしてやってから軽く小突くくらいのことはし、毛糸が手に入ったなら好きな男のセーターくらいは編めるのではないか、と思う。 

 すごい。私にはどれひとつできない。ドミニアは私から見ればいわばシタンさんのようなマイティーキャラクターだ。それはともかく。

 もしある日、ドミニアがソラリスのショッピングサイトで、「地上産のウール大量入荷」なる広告を見たとして、ふと「そういえば自分はそういうこともできなくはないのだ」と思い出したとして、なんとはなしに大量の毛糸をエレメンツの高給をつぎこんで買い込んだうえに、「そうそうこのあいだ下におりたとき、昔のくせでついついたくさん摘み取ってしまって検疫でひっかかりそうになって大変だったんだ」とベッドの下から大量の染料植物のドライフラワーを引きずり出し、なにしろ猪年生まれ(?)の性でやりはじめるととまらない、ケルビナにあきれられながらスパゲティー鍋でよっぴいて染料を煮詰め、その黒っぽい液体に秘密の草を2・3本放り込み、毛糸を染め込んで、料理ようのチップと木炭を燃やして灰汁をつくり、有給をとって作業を続け、ころあいを見計らって最後の灰汁から毛糸をあげるとそれはそれは見事な赤い毛糸の出来上がりで…話が長くなったが、

「閣下は…赤は…お嫌いだったやもしれん…」

と悩みつつも、機嫌のいいときを見計らってサイズを…いやとにかくそうしてすばらしく素敵な一枚の手編みのセーターを作り上げたとして、それをどきどきしつつ閣下にさしあげたら、ことのほかに閣下が喜んで下さったとしよう。…ふう、長かった。

 そんなわけで女にいいこいいこして欲しい閣下はさっそく試着してみる。色なんて彼はどーでもいいのである。女の手を感じさせる優しい肌触りのセーターなんて、奴を陥落させるのになんとぴったりのアイテムだろう。 「かっかにてあみのセーターをさしあげた !」キラリんキラリん、ってなもんである。面白くてつい長引いてしまった。本題はこの先だ。

 閣下はさっそく次のお休みの日にそのセーターを着ておでかけした。閣下は御自分ではあんまりわかってらっしゃらないのかもしれないが、色素が薄いので、鮮やかな色が案外似合ったりするのである。同じ日が非番の部下達がそれを見かけ、一気にゲブラー内に噂がひろがる。

 翌朝貧乏くじのミアンが鈴をもって近付いてくる。

「閣下、赤いセーター、噂になっておりますわ。」

「うん?そうか?」

 男子たるものけっして浮気の事実を認めてはいけない。例えばれても「やってない」と言い続けるべし。…どうも今日は脱線しがちだ。それはどうでもいいのである。

 つまり着ているものが変わると作品中ではかようにストーリーが脱線するということが言いたいのだ。のみならず、キャラクターそのものの位置や役割がかわってしまう。

 だからカールの窮屈で暑苦しい服は、カールをカールたらしめている重要な要素だったりするのだ。

 昔バンドのマンガで、主人公が久しぶりに学校へ行こうとしたら制服をよそに忘れて来ていて、

「しかし制服がないと学校にいけないというのも不便なものだな…」という感想をもらすシーンがあった。

 学生服は学生を学生たらしめる。

 不便ともいえるし、便利ともいえる。

 マジンガーZ以来「巨大ロボット」と呼び慣わされてきたものを「モビルスーツ」とか言って服にしちまったアニメもあったが、服というのはまこと興味深い代物である。

 王様に謁見にいくためにはそれなりの衣装が必要らしい。長靴をはいて会いに行った猫なんかは割に有名だ。

 なにかこう、役割を果たすために、そのお役目とキャラクターの間の隔たりを埋めてくれるのが服なのかもしれない。だから正義の味方は巨大ロボットという鋼鉄の服をまとい、猫は王様に会うために長靴をはくのだ。これはゼノ世界でもぼちぼちある話で、パルトがアーサーを使っていたころは王都奪還に失敗するけれども、バーラーを使うようになるとブレイダブリクに花が咲いてしまう、などというあたりなんかがそうだ。

 ギアの話を先にしてしまえば、カールは次々とギアが2度変わる。ワイバーン、ヴェンデッタ、アンフィスバエナといずれも高そうなギアばかりだ。当方はヒラム度の高いワイバーンが一番好きである。しかしパワーアップしていくごとに、彼は派手にコワレて行く。

 だが彼が劇中で果たした大役ぶりを思えば、それでも「よく生きていた」と誉めてあげたいくらいだ。あんな服(ギア)ではとうてい足りない大役だったのだから。天帝カインはカールの遺伝的肉親だ。ミアンはカールの右腕であり、恋人である以前に、「母」だった。いずれもデウスの世界の古い根だった。こいつらをなんとかせずにアーネンエルベなせるというのか?…その汚れ役を…人類の親を殺すという大罪を、主人公の代わりに引き受けたのがカールではないのか?

 彼はあの窮屈な制服の中にいろんな…熱いものや激しいもの…を気が狂うほど押し込めて、柔らかく弱い部分をあの服でなんとかかばって、自分の役目をまっとうしたのだ。あの可愛い男がね。なんて偉い。涙ものだよ。ああくそ、本当に泣けて来た。描きづらいというのもあるけれど、だから「普通の人コス」してるカールかくのが好きです。


ここまで読んだお茶目心のわかるあなたへ質問。

ユーゲント時代カールと二人のルームメイト、お布団の中で幸せにしてあげたい?  → Yes!

Noのかたはまたこちらへ↓。


語りファイル2へ / 日常へ帰る